英語と日本語は、言語間の距離が遠いと言われます。

発音や文字の違いも大きな要素ではありますが、やはり「語順」の違いについては避けて通れません。
今回は語順の違いについて詳しく解説していきたいと思います。

日本語の特徴

まず、こちらの2つの文章を比べてみてください。
A:私は 花を 売っています。
B:私に 花を 売ってください。

これを分析するとこうなります。

A:主語(誰が) + 目的語(何を) + 動詞(どうする)
B:目的語(誰に) + 目的語(何を) + 動詞(どうする)

どちらも、「私」という単語と「花」という単語を使っていて、並べる順番も同じなのに、役割が変わっているのです。

日本語には助詞がある

日本語と英語の大きな違い、それは、日本語には「助詞」があるということです。

助詞とは、「てにをは」に代表される、言葉に意味をくっつける語です。

この助詞があることで、日本語ではこの2つのことが可能になっています。

  • 「~は、~が」と言ったら主語、「~に、~を」と言ったら目的語。
    瞬時に単語の役割を判断できる
  • 助詞によって単語の働きを理解できるので、単語が入れ替わっても意味が分かる

「単語の順番が入れ替え可能」というのは、日本語の大きな特徴です。

例えば、「私に花を売ってください」でも、「花を私に売ってください」でも、日本語としては正しいのです。

日本語の語順

単語の入れ替えが可能という特徴のある日本語ですが、基本的な語順はこの通り。

誰が(主語) + 何を(目的語) + どうする(動詞)

「私は花を売る」でも「花を私は売る」でも伝わりますが、一般的には、「何をどうする」をセットにします。
単語の距離が近い方が結び付きが強くなるからです。

そして、もう一つ日本語の特徴としては、結論が最後、ということ。

「どうする」という動作が最後に来るだけではなく、その文の種類も最後まで分かりません。

花が好き です。      【肯定文・現在】
花が好き ではありません。 【否定文・現在】
花が好き ですか。     【疑問文・現在】
花が好き でした。     【肯定文・過去】
花が好き でしたか。    【疑問文・過去】

「花が好き」までは同じです。肯定文、否定文、疑問文の判断だけでなく、時制の判断も、最後の言葉を聞くまで出来ない、というのが日本語の語順の特徴です。

主語などの省略

もう一つ、日本語の特徴として、主語を言わないことがある、むしろ主語を言わない方が自然なこともある、ということが挙げられます。

先ほどの「私に花を売ってください」という文章では、売るという動作をする人、つまり主語は私ではなく、私が話しかけている相手(あなた)になります。
でも、「あなたは私に花を売ってください」とは言いませんよね。

誰が主語か明らかな場合にはわざわざ言葉にせず、「察する」のが日本語です。

同じ様に、助詞も省略されることがあります。

「犬好きなんだね」

と、「犬が好き」ではなく、助詞を省いて話すことも多いですね。

英語の特徴

英語の語順は結論から

英語の語順はこの通り。

主語 + 動詞 + 目的語

まずは「誰がどうした」を伝えてから、細かい情報を付け加えていくのです。

英語では、Introduction(導入), Body(本論), conclusion(結論)の型でプレゼンやエッセイを書きます。
まず導入部で意見を言い、本論で肉付けし、結論で締める、というのは、英語の語順に通じるものがあります。

日本では「起承転結」、結論は最後まで取っておくというのが、これまた日本語の語順に通じるものがありますね。

また、英語では、文章の最初を聞くと、時制や、肯定文なのか否定文なのかもわかるようになっています。

I study English.     【肯定文・現在】
I studied English.    【肯定文・過去】
I didn’t study English.   【否定文・過去】
Did you study English?  【疑問文・過去】

主語の省略はしない

また、英語と日本語のもう一つの違いは、英語では主語を省略しない、ということです。

もちろん、

“Hurry up!”

のような命令形や、

“What did you do last night?”
“Saw a movie.”

のように、明らかに誰の話をしているかわかる場合には省略されることもありますが、日本語のように「わかるから言わない」のではなく、「言わないとわからない」のが英語です。

英語で話す時には、日本語で話す時には意識していない主語を見つけて、忘れずくっつけるようにしましょう。

まとめ

英語を話すときは、「誰がどうした」をまず伝えることを常に意識するようにしましょう。

日本語と英語は別の言語。

日本語の文章を英語に訳すのではなく、伝えたいメッセージを頭の中に思い描き、「誰がどうした」を見つけてまずそこから文章を始めるようにすると、英語らしい感覚が身についていきますよ!