世界の英語人口は

全世界の人口約78億人のうち、英語を話す人は11.8億人。(Wikipediaより)
全人口の約15%、多いと思いますか、それとも意外と少ないと思いますか?

言語についてのての研究をしているEthnologueによると、世界には7000以上の言語があるそうです。
別の国の人とコミュニケーションをとるのにその国の言語を学ぶとなると、果てしない数になってしまいます。

ちなみに、日本の人口は1.25憶(2021年時点)。
英語という言語1つができるようになるだけで、日本の人口の約10倍、10憶人以上の人とつながることができるのです。世界がぐんと広がりますね。

ただし、そのうち、日本人のように第二外国語や外国語として英語を使っている人が3分の2以上。

実は、アメリカやイギリスと言った、テキストになるよう英語を使っているのは3.4億人しかいないのです。11.8億人の約3分の1と思うと、確率的に3人に2人は英語が母国語ではない人ということになります。

発音強化が必要な理由

英語を学んでいて、話す人によって聞き取りやすさに違いを感じたことはありませんか?
「日本人の英語はききとりやすいのに、ネイティブスピーカーや他の国の人が話す英語はききとりにくい」という声をよく聞きます。実際に英語を学んでいる方でそう感じている人は多いのではないでしょうか。

そもそもの大前提として、1つの言語を話すのに必要な音はそれぞれ違います。

例えば日本語にはRの音がないのは有名な話で、英語の「right」も「light」もカタカナで置き換えると同じ「ライト」となり、誤解を生むことがあります。
同じ様に、韓国語にはFの音がないため「if」を「イプ」と発音する人もいますし、フランス語にないHの音が脱落し「house」を「アウス」と発音する人もいます。つまり、言語の数だけ母語の影響を受けた英語が存在することになります。

もちろん、アメリカ英語とイギリス英語では、発音だけでなく、使われる言葉自体にも違いがあります。
また、ネイティブスピーカーと言っても、出身地によってなまりがあり、場合によっては別の言語のように聞こえます。

日本語に当てはめて考えてみましょう。

日本にも様々な方言があります。

私は東海地方の生まれで、大人になってから関東へ来ました。語尾やイントネーションなど、明らかな方言は使わなくなり、自分では完璧な標準語を使っているつもりでいるのですが、いまだにふと出る言葉が標準語でないと気づき驚くことがあります。

また、テレビ番組では、地元の人へのインタビューに標準語の字幕がついている、なんていうこともあったりします。

ただ、普段方言を使っている人たちが、テレビでアナウンサーが話す日本語、つまり標準語を理解できないということはありません。

つまり、方言A→標準語、方言A→方言B、では理解できないことがあったとしても、標準語→方言であれば問題はないのです。

標準語をアメリカ英語またはイギリス英語と置き換え、方言を日本語なまりのカタカナ英語と考えると、より多くの国の人とスムーズにコミュニケーションを取りたければ、標準語を話せた方が良いと言えます。

負荷のないコミュニケーションのために

コミュニケーションとは、感情や思考を伝達し合うことです。

その目的は色々あります。
「自分の会社の商品を相手に知ってもらいたい」「相手の持っている情報がほしい」「相手について知りたい」

自分の目的が相手と話すことで達成される場合には、当然コミュニケーションに対して積極的になります。

例えば、海外旅行で道に迷い、その国の言語が話せないという場合。藁にもすがる思いで道を聞いた外国人が、つたない日本語が話せたら、たとえその人の日本語が下手でもじっくりと話を聞くでしょう。自分も、ゆっくり簡単な日本語で相手に伝え、何とか目的地へ行くヒントを得たいと思うはずです。

逆に、全く興味のないものを日本語でガンガン売り込まれたらどう感じるでしょうか?

完璧な日本語で売り込みされた場合、興味がないと思っていても、もしかしたらふと耳に入った言葉に興味をそそられ、そこから積極的な会話に発展することもあるかもしれません。
でも、聞く気がない時にしどろもどろの分かりにくい日本語で話しかけられたら、しっかり時間を取ってコミュニケーションを成立させよう、と思うでしょうか。

つまり、自分と話すことで相手にメリットがある場合には、自分の英語がカタカナ英語でも一生懸命聞いてくれるであろう、ということです。

一方で、仕事などでどうしても話す必要がある外国人がいるとしましょう。
打ち合わせができるだけの英語力や発音力がないと、意味を確認する必要が生じたり、言わんとするところを想像したり、と、聞き手に余分な負荷をかけることになります。
負荷がかかるだけならまだよいのでですが、誤解を生むこともあり得ます。

日本語英語もアイデンティティだ、という説も見かけますが、私は英語学習を始める時から発音を学び、誰にとってもわかりやすい英語を目指して学習することをおすすめします。

何から始めればいいのか

発音の大切さがわかり、さあ発音強化を始めよう!となったら、いったいどこから手を付けたらいいのでしょうか。

発音トレーニングには、主に3つのアプローチがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

音から学ぶ

まず1つ目は、英語を聞いてそれを真似する方法です。

発音を学ぶのにお手本の音は必須です。どのアプローチで発音を学ぶとしても必要なステップとなります。

ただし、全ての英語の発音を「音だけで学ぶ」のは効率が良くありません。

理由は2つあります。

1つ目は、知らない言葉に出会った時、見本となる音がなくても発音できるようになる必要があること。
2つ目は、記録や効率的な復習には音だけの学習は向かないこと。

1つ目については、最近オンラインの辞書でも音声が聞けるものが多く、聞いて覚えることが容易になってはいます。
ただ、スマホや電子辞書が使えない環境で読み方を知りたい時、または音が出せない環境で発音を確認したいときもあるかもしれません。発音を確認する手段は複数あったほうが安心です。

そして2つ目。いくら正しい発音を学んでも、時間が経つと忘れてしまいます。
復習しようと思ったときに少し違う発音で思い出してしまったら、間違った音が身についてしまいます。

というわけで、発音を文字と結び付ける方法を2つお伝えします。

発音記号で学ぶ

発音記号に苦手意識がある方も多いかもしれませんが、発音記号は絶対に読めた方が良いです。

発音記号が読めることで、文字で発音が確認できますし、学んだ発音を文字で記録することができるようになります。
また、音と文字はそれぞれ聴覚と視覚という2つの感覚を使うので、同時に学ぶことで脳への刺激が多くなり定着しやすくなります。

とっつきにくそうなイメージのある発音記号ですが、それほど難しいものではありません。

まず、アルファベットは26文字

対して発音は母音12音、子音24音の合計36音あります。※1
ただし、その中でアルファベット表記をそのまま使うのは、子音の17音と母音5音。つまり、母音の7音と子音の7音、計14音の記号だけが特殊な表記だということなのです。

もちろん、それぞれのアルファベットや発音記号が正しい英語ではどんな音になるのかを学ぶ必要がありますが、難しく考える必要はありません。まず自分が知っている単語で正しい音を確認し、言えるように訓練しつつ、その音を表現する発音記号を学んでいきましょう。

そのうち、発音記号を見て知らない単語を正しく読むことができるようになってきます。

※1 組み合わせによっていくつかパターンがありますが、当サイトではIPAの発音記号を基準にしています。

フォニックスで学ぶ

もう一つの方法として、フォニックスというものがあります。

カタカナやひらがなのように常に同じ読み方をする日本語と違って、英語は同じ文字を使っても違う読み方をする場合がありますよね。
例えば、hopは「ホップ」で、petは「ペット」、でも、「ho」と「pe」を合わせてhopeになったら「ホッペ」ではなく「ホウプ」になる・・・。
ネイティブスピーカーがどうやって知らない単語を発音しているのだろう、と疑問に思ったことはありませんか?

フォニックスは英語圏の子供が学ぶ「音と文字のルール」です。

例えば、THのスペルはどんな発音になるとか、上のようにhopeのスペルだとどんな音になる、などのルールを学ぶことで、初めて見た単語でも予測して発音できるようになります。そして逆に聞いた単語のスペルも予想できるようになるのです。

英語には例外あるので当てはまらないものもありますが、フォニックスのルールを覚えることで7~8割の単語は読めるようになると言われています。

発音に付随する他の要素

音を学べばそれで正しい英語が話せるというわけではありません。

辞書で発音記号を調べると、アクセントの表記があるように、音だけではなく強弱も大切な要素となります。
また、文章を話す際には、イントネーションも大切な役割を果たします。

例えば、”Excuse me.”という言葉1つ取ってみても、言い方を変えるだけで色々な意味になるのです。

普通の言い方だと「ちょっと失礼」みたいな感じで使えますが、語尾を上げると、「え、なんですって?」と、聞き返すときに使えます。
また、meを強く読むと、「こちらこそ失礼」という意味になります。

このように、話す時の音にまつわる色々な要素は以下のようなものがあります。

  • 発音
  • アクセント
  • イントネーション
  • 音の高低
  • 音の変化

一つ一つの音、発音だけでなく、文章で話した場合の音の変化や、意味を加えるイントネーションなどにも合わせて対応できるように、音読トレーニングを併せて行うのが効果的です。

まとめ

発音が正しく使えることで、自分の言いたい事が正しく伝わる、そして相手の言っていることも正しく理解できるようになります。

コミュニケーションがスムーズに、そして誤解なくできるようになると、お互いにストレスを感じることがなくなり、英語を楽しめるようになります。

音を聞いて真似をすることを基本に、発音記号を学び、フォニックスのルールも効率よく取り入れて、発音上手を目指しましょう。

自分の発音が正しいかを確認する方法についてはまた別の記事でご紹介します。