概要

オーバーラッピングとは、音源と自分の声を重ねて音読するトレーニングです。

トレーニングの効能

リスニング力アップ

同じようにかぶせて読むためには、音源をじっくり聞いて、それを真似する必要があります。どの単語、どの文章がどんな音になっているかを聞き込み、徹底的にアウトプット練習をすることで、自分の中の音のデータベースがどんどん出来上がっていきます。結果、同じような文や音に他の場面で出会ったときには、すんなりと理解することができるようになります。

スピーキング力アップ

英語を話すためには英語を話すための筋肉をつけることが必要です。何度も繰り返して声に出すことで、少しずつ英語らしく話すための筋肉をつけられます。また、文章を暗記するぐらいトレーニングを行うと、その文章がストックとして蓄積されますので、次回同じようなことを話すときには、ある程度自動化され、すんなりと文章で話せます。

スピードに慣れる

声に出して読むトレーニングにはいくつか種類があります。音読、オーバーラッピング、そしてシャドーイングです。

音読は音源なしで読むため、スピードの縛りがありません。一方で、シャドーイングは同時通訳者の訓練法として注目されていますが、テキストを見ないで行うため、初心者にはハードルが高いと感じるかもしれません。

オーバーラッピングでは、テキストの補助がありますので、口が回らなくても目で追うことができ、少しずつスピードに慣れる訓練を行うことができます。

読む・聞く・話すを一度に鍛える

オーバーラッピングは「文字を見ながら」「音声を聞いて」「声に出して読む」トレーニングで、4技能のうちの3つを鍛えることができます。
脳科学でも、活字を読み、発声しそれを聞くという作業で、脳がより活性化することがわかっています。脳が働いていればいるほど学習効果が上がります。英語回路構築(英語の語順の定着)のためにも良いトレーニングです。

英語力の穴に気付く

英語の音源と同じスピードで声にだして読もうと思うと、最初はうまくいきません。
「この単語の発音なんだっけ?」と、一瞬固まってしまったり、つなげるべき音をはっきり読んでしまってどんどん遅れたり・・・。

実際にやってみると難しいオーバーラッピングも、声に出さないでただ聞いていると、自分でもできるような気になることが多いのです。ちょうど、テニスのうまい人が簡単そうにラリーを続けていると、自分にもできるのではないか、と思うような感覚です。
実際にラケットを振ってみて、球が飛ぶ方向がおかしいとか、タイミングが遅くて当たらないとか、そういうポイントに気付いて修正をすることで上達します。英語も同じで、自分のできない部分に気付くと、より良くするために何をしたらいいか、次のステップへ進めるのです。

トレーニングの手順

準備するもの

  • 音源
  • スクリプト(読まれる英文が書き起こされているもの。書き込み用。)
  • 鉛筆

トレーニング方法

  1. テキスト(スクリプト)を用意し、音源を再生し、始まると同時に元の音声にかぶせるように声にだして読む。
  2. その際、発音がわからない単語、言いにくい部分に下線を引いておく。
  3. 次は声に出さず、チェックしたい部分に意識を向けて聞く。
  4. 再度1に戻って、音源と一緒に読む。

トレーニングのコツ

  • 完全コピーを目指す
    スピードだけでなく、英語の高低、強弱、語尾のイントネーションなど、英語全体の波形が一致するように何度も練習しましょう。ついていけなくなったら一度じっくり聞いて、再度チャレンジします。
  • 音の確認は録音も有効
    音源とずれていると感じるところは、都度聞いて確認します。
    自分の声を録音して聞いてみるのは、恥ずかしいと感じるかもしれませんが、客観的に自分の話す英語を確認できるのでおすすめです。
  • 聞けない時はイヤフォンを使う
    オーバーラッピングをすると、自分の声と音源の両方が自分の耳に入ってきて、正しい音に集中しづらいと感じるかもしれません。練習段階ではイヤフォンを利用すると聞き取りやすいです。ただし、最後の仕上げは、イヤフォンを外し、自分の声と音源がきれいに重なっているかを確認することをおすすめします。

おすすめの組み合わせトレーニング

アイ・シャドーイング

一度オーバーラッピングをした後、アイ・シャドーイングを挟むことで、より正確な発音、イントネーションなどの情報を拾うことができます。
オーバーラッピング、アイ・シャドーイングを、同じように読めるようになるまで繰り返すのがおすすめです。

シャドーイング

オーバーラッピングができるようになったら、シャドーイング(スクリプトを見ないで影のように音声にほんの少し遅れてついていくトレーニング)を行ってみましょう。
耳に意識を集中して、スムーズに口から英語が出てくるようになるまでトレーニングを繰り返すことで、正しい英語の音やスピードを定着さえることができます。