皆さんは、一つのことにじっくり取り組んで、終わったら次に取り組むタイプですか?
それとも、一度にたくさんのことに取り組むタイプでしょうか?

一度にたくさんのことを片付けるマルチタスク、一見はかどるように見えますが、実は一つずつ取り組むシングルタスクより効率が悪いのです。

マルチタスクに関する研究

私たちの脳は一度に一つのことしか処理できません。

一度にたくさんのことを処理しているようにマルチタスクも、スタンフォード大学 神経科学者エヤル・オフィル博士によると、実は脳のスイッチを頻繁に切り替えているだけなのです。

確かにマルチタスクをして、一度にたくさんのことに取り組んでいる時は、ものすごく力を発揮しているように感じるかもしれません。
実はこれも脳の働きによるもので、脳は新しい刺激を好むため、頻繁にスイッチを切り替えて違うタスクに取り組むことでドーパミンが出て、充実感、満足感を得られているからなのです。

それでは、なぜ頻繁にスイッチを切り替えるのが良くないのでしょうか。

ミシガン大学の研究では、マルチタスクによって生産性は40%も低下し、作業時間も増加することが分かっています。
また、ロンドン大学精神医学学科のチームによる研究によると、仕事中に電話の着信などで気が散った人のIQは15ポイント、つまり徹夜明けと同じ水準まで下がると言われています。

一生懸命取り組んでいるように見えるマルチタスクですが、実は集中力や注意力の低下により、クオリティの低下や作業効率の低下をもたらしているのです。

ただし、もしかしたら、あなたを含め、あなたの周りに同時進行で完璧に仕事ができる人がいるかもしれません。そういう人は「スーパー・タスカー」と呼ばれる、人口の約2%のレアな人達です。

もしあなたがスーパー・タスカーでないのであれば、シングルタスカーを目指しましょう。

マルチタスクをやめる5つのコツ

ブラウザのタブやアプリを複数開かない

たくさんのタブやアプリを開いて作業していると、どうしても他のことが目に入るチャンスが増えてしまいます。

今作業をしている一つだけを開くようにすると、集中が途切れる理由を減らせます。

できる範囲でデジタル離れする

スマホのタイマーを使おうとしたらメールに気付き、つい返信してしまった。

スマホにメモを取ろうとしたら、以前のメモが目に入り、やっていなかったことを見つけてしまったのでそちらに取り掛かってしまった。

こんな経験はないでしょうか。

タイマーやちょっとしたメモなどにスマホを使っている方も多いと思いますが、多機能なスマホはそれだけ気をそらすきっかけも多く備えています。

つい別のことをしてしまう傾向がある方は、できるだけアナログ化してみましょう。

スマホの通知設定や置く場所を変える

紙のメモ帳や、普通のタイマーを用意して、勉強や作業に取り組んでいたとしても、SNSの通知やメール受信、アプリの更新通知がピコピコと鳴ったら、やはりそこで集中が切れてしまいます。

私たちの生活はスマホ依存になりがちです。

時間があるとついスマホを触ってしまうという方は、スマホを使うと決めた時間以外はサイレントモードにしたり、勉強部屋、作業部屋ではない場所に置いて置くなど、プチスマホ断ちをしてみましょう。

パーキングロット法を使う

パーキングロットとは駐車場のこと。

これは、一つのことに取り組んでいる時に別のことを思いついたら、それを一旦脇(パーキングロット)によけて置き、時間が出来た時に取り掛かるようにする方法です。

思いついた時に簡単にメモを取っておくことで、今の作業に集中することができます。

一旦思いついたことは、意識して脇によけないと、頭の片隅に「忘れてはいけないやらなきゃいけないこと」としてずっと残ってしまいます。

普段気がそれがちの方は、この方法で思いついたことをどんどんパーキングロットに放り込んで、目の前の作業に集中して取り組む訓練をしてみてください。

場所を変える

先ほど、脳は新しい刺激を好むとお伝えしました。

どうしても集中できなくなったら、カフェや図書館で勉強する、など、場所を変えてリフレッシュするのもお勧めです。

マルチタスクをしてもOKな条件

ただし、スーパー・タスカーでなくてもマルチタスクをしても良い条件があります。

それは、「無意識にできる習慣化された作業となら、他の作業をしても良い」ということ。

いわゆるながら作業です。例えばこんなものがあります。

  • 通勤途中(無意識)リスニングをする(メイン作業)
  • お風呂に入りながら(無意識)独り言英会話をする(メイン作業)
  • 犬の散歩をしながら(無意識)シャドーイングをする(メイン作業)
  • コーヒーを飲みながら(無意識)勉強する(メイン作業)

ユタ大学が車の運転中に携帯で話すことは悪影響だという研究結果を出しています。
車の運転中にあまり英語の学習に意識を向けるのは危険です。

ちなみに、コーヒーを飲みながら、お菓子を食べながら、も、あまりにじっくりと味わおうとすると、そちらに注意が行ってしまいます。
コーヒーを飲む、をメイン作業にしたい場合には、コーヒーを飲む時間を休憩時間とし、じっくり味わって飲むようにしましょう。

また、音楽についても、BGMとして聞き流せるものでなければ、学習中、仕事中に聴くのは悪影響と言えそうです。

まとめ

私もついマルチタスクをしがちでした。

ただ、振りかえって見ると、結局長い時間をかけて色々と中途半端になっていることが多かったように思います。

同じ時間をかけるなら、確実に一つ一つ取り組んで、最良の結果を得るようにしましょう。