英語を使って何をしたいのかを明確にしよう

英語はコミュニケーションツールです。

知識として頭の中に詰め込むものではなく、英語を使って何をしたいか、というところに立ち返って、学習をスタートさせるのがとても大切です。

英語の習得には膨大な時間がかかります。
例えば、子どもが言語を習得するには、3~4歳で1700語を身につけようやく単語をつなげて文で話せるようになります。まだまだ自由に言葉を操ることはできないにしても、自分から発信できるこのレベルで1460日~1825日。言葉に触れる時間を一日8時間で計算しても、1万時間を優に超える時間となります。

大人が語学習得を目指す場合は、子どもより短い時間での習得が可能となりますが、諸説ある中でも習得まで3000時間というのが多いようです。

もちろん、3000時間経過しないと全く話せないわけではなく、到達するまでに少しずつレベルアップしてできることが増えていきますが、それでも最終ゴールが3000時間となると途方もない時間です。心が折れてしまいそうになります。

そのために、なぜ英語を使えるようになりたいのか、どうなりたいのかという大きなゴールをしっかり掲げることが大切です。向かう目標がないと、途中でくじけてしまいます。

あなたはなぜ英語を学ぶのですか?

あなたは、英語ができるようになったら何がしたいですか?

・海外旅行を楽しみたい
・海外の映画やドラマを、実際の俳優さんの声で楽しみたい
・和訳ではなく、英語の原書を読んでみたい
・仕事で使うので困らないようにしたい
・外国人の友達や恋人がほしい
・英語を使えるかっこいい自分になって自信を持ちたい
・自分のビジネスに海外の顧客を取り込みたい
・テストでいい点を取りたい
・希望大学に入学したい

山登りと同じで、目指すべき山頂があれば、あそこまで頑張ろう!と思って進むことができるのです。

成功しやすい動機とは

ゴールには、つまり自分の内側から出てくる欲求に基づくものと、つまり外からの評価や報酬を求めるものがあります。

一般的には、「楽しいからやりたい」「好きな海外文化に親しみたい」など、自分の内側から出てくる動機(内発性動機)の方が、高いパフォーマンスを維持しやすいと言われています。

一方で「英語ができるようになったら昇格できる」などの外発性動機は、達成に対してのメリットがはっきりしているので、瞬発的に頑張れるという特徴があります。ただし、目標を達成した時点で、その先を目指す必要がなくなります。

嫌々ながら外的目標達成のために英語をがんばるよりも、英語を楽しめた方がパフォーマンスが上がります。
楽しく学習しているだけよりも、何か達成するという成功体験があった方が、モチベーションを高く維持しやすくなります。

外因性のゴール、内因性のゴール、どちらも組み合わせられないか、自分の中にある気持ちや欲求を深く掘り下げてみてはいかがでしょうか。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

大きな目標がないあなたは

目標を明確にするのは大切ですが、中には、時間があるから英語やってみようかな、という気持ちの方や、やりたくないけど仕方なく勉強をしなくてはいけない、という方もいらっしゃると思います。

楽しそうだから英語をやってみよう、というポジティブな方は、楽しいと感じるうちは続けやすいはずです。ただ、少しずつ難しいと感じる段階になると、モチベーションが下がりがち。

仕方なくやっている方は、もともとモチベーションが低いですよね。

そういう場合には、まず、「英語ができるようになった自分」を想像し、どんなことができるようになるか、どんな気持ちになるかを想像してみましょう。

楽しい未来を思い描き、英語学習にポジティブなイメージが加わることで、学習を続けやすくなります。

「頭を使うことで、いつまでも若々しくいられる」でもよいのです。実際、英会話スクールでは、「ボケ防止に~」といいながら、毎週レッスンを受講されている方もいらっしゃいました。

受験などで仕方なく、という方でしたら、「英語でいい点が取れて、希望の学校に合格し、将来就きたい職業に就いて楽しく働く」でもよいわけです。

何か思い立って英語を始めたわけでなく、英語学習が何かの手段だったとしても、その先にある未来をゴールに据えればよいのです。

そして、あなたの目標をしっかりと書き出してみましょう。
視覚化することで、実現しやすくなりますよ。

短期目標と長期目標

さて、最終目標は、言ってみれば、それはあなたがこれから出かける「英語の旅」の最終目的地です。

今の実力をスタート地点として、最終目的地が遠いのか、近いのか、その道が平坦なのか、山道なのか、人それぞれに違う道のりを進んでいくことになります。

どんな道のりであったとしても、一歩ずつ進む、という地道なステップが必要です。
ひとまず、「やるぞ!」という決意を固めましょう。

出発する気持ちが固まったら、目的地までどう進んでいくかが大切です。

例えば日本をスタート地点として、日本の裏側あたりのウルグアイを目指すとしましょう。

最短ルートで一直線に3000時間、太平洋をひたすらボートで進むと想像してみてください。いくら進んでも景色は同じ。一面の大海原です。

たまには雨上がりの虹が見られたり、クジラやイルカが一緒に進んでくれたりするかもしれません。

でも、いつも同じ海の上。ナビがあって、自分の現在地が目的地に向かって少しずつでも進んでいるのがわかれば多少の励みにはなるかもしれませんが、それでも、3000時間ずっとその調子で進むとしたら、どんな気持ちになるでしょうか。

一方でクルーズ船での旅行のように、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸、と、色々な都市に立ち寄りながら、最終目的地のウルグアイを目指す方法です。

3000時間の旅には変わりありませんが、それぞれの立ち寄りポイントで文化や食、観光や人々との交流を楽しみながら進むことができます。旅程表をみながら「シンガポールではマーライオンを見よう」とか、「スペインについたらワインを楽しむぞ」など、わくわくしながら次の目的地を目指すことが出来るのではないでしょうか。

英語学習も同じです。

長期目標(最終目的地)を決めたら、もう少し早く、簡単に達成できそうな目標、つまり短期目標を立てていきましょう。

例えば、初心者の方なら、「自己紹介ができるようになる」などの到達目標でもよいですし、英語に苦手意識がある方でしたら、「会社の外国人の同僚に話しかけてみる」でもよいです。

小さな成功体験と積み重ねて、最終的なゴールに向かって、一歩ずつ進んでいきましょう。

また、クルーズ旅行であれば、今まで立ち寄った色々な都市についての思い出が残っており、自分のたどってきた道のりが明確であるのに対し、直線で進んでいた場合、嵐の記憶やクジラの記憶は残っていても、明確にどこを通ってそれぞれの場所でどんなことをした、というのは思い出しにくいはず。

つまり、短期目標をいくつか立てて、それを確実にクリアしていくことにより、自分の成長の証を残していけるのです。成長実感はモチベーションを保つのに大きな役割を果たしますよ。